この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の一色
第2章 男が求めるのは
誰もが持つであろう疑問。
率直にぶつけてみた。
田原は、曇りなく単に疑問を解決したいと言うつもりで聞いてみたのだが、
美紗緒の口は思うように動かない。
その様子からなにか訳があるのは間違いないだろうと勘ぐった。
しばらく気まずい沈黙が居座ったので、ここいらで話題を変えようと
田原は明るい声音で再び口を開いた。
「まぁいろいろ事情がおありなんだろうし、これから1ヶ月お付き合いしていくのですから
もし気が向いたら、おしゃべりでもしてください。
で、住いを伺ったのは、僕のアトリエは
小田急線の豪徳寺なもんですから、通いにくくなければいいなと思いまして」
「そういうことですか・・ええ、大丈夫です。一度乗り換えをするだけですから」
「では交通費は別途支払いますので、勤務初日に金額をお伺いしますね」
「あ、でも・・」
「交通費は普通時給とは別ですよ。これはごく普通のことですから」
田原はやれやれ、といった感じで肩を下ろす。
その様子を見て美紗緒は肩をすぼめた。