この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の一色
第3章 冷たい夫
風呂から上がり、キッチンで缶ビールを開ける夫に、
美紗緒は柔らかい声をかけた。
「あなた、私、仕事が見つかりました」
物言わぬまま振り返った康文の表情からは、厳しさが抜けていた。
「なんだ、見つかったのか。で、どんな仕事なんだ?」
どうせ水商売かなにかだろう?」
リビングに移動してソファにドサッと体をあずけた康文は、
ちょっと小馬鹿にしたような目つきで傍らに立つ妻を見上げた。
「画家のアトリエでのお仕事なんです」
「ほう・・画家のアトリエねぇ。で、なにをするんだ?」
さすがに裸のモデルだとは言えない。
なので家事全般や雑用をする、いわゆるお手伝いさんだと嘘をついた。
「でもそんなんじゃたいした金は稼げないだろう?まぁ多少時間をかけてもいい。
ちゃんと仕事を見つけてきたんだからな。
1ヶ月で返せ、と無茶を言ったが・・それは許してやろう。
そのかわり、ちゃんと働いて稼いでこい、いいな?」