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最後の一色
第4章 初日
「ここです」
門の脇には小さな葉がさわさわと音をたてる5メートルほどの木があった。
奥に続くエントランスの脇には、
小さな草花が導くように植えられていた。
庭は広いが建物はこじんまりとした平屋建て。
洋風古民家、とでも言ったらどうだろうか。
写真で見たイギリスの片田舎にあるようなおもむきに、
美紗緒は仕事の内容を忘れた。
彫刻の施された木のドアを開けた涼輔に促されると
今度は美紗緒が先に家の中に入る。
きれいに片付いている家だった。
一番手前の日当たりの良い部屋がアトリエになっていて、
その反対側にキッチンとダイニングスペースが見えた。
廊下の突き当たりにもドアがある。
きっとそこが彼の寝室なのかもしれない。