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最後の一色
第4章 初日
「小さな家で驚かれたでしょう?」
キッチンに入ると、温もりのある木のダイニングテーブルに
アイスティーの注がれたグラスが2つ、置かれていた。
引いてくれた椅子に腰かけると、
腰高窓からも背丈の高いローズマリーが見えた。
「いいえ、小さくたってこんな素敵なお家に住んでいるなんて・・
あ、お住まいは別のところに?」
いただきます、と小さくつぶやいてからアイスティーを口にする。
「いえ、ここが僕の家なんです。
一人暮らしなんで、これで十分なんです」
愛おしそうに部屋の中を眺めまわす。
彼にとってこの家は、相当お気に入りなのだろうと感じ取れるほど、
その目元は柔らかかった。
「そうでしたか・・でもほんとうに・・居心地のいいお家だわ」
開け放った窓や扉から風がすり抜けるたびに自然の香りに包まれる。
まさに絵にかいたようなアトリエ、だと思った。