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最後の一色
第4章 初日

美紗緒も、いつまでも涙を流して立ち尽くしていては申し訳ない、と
ソファにゆっくりと腰を下ろした。
膝をそろえ、その膝の上に両の手を置き、次なる支持を待つ。
じっとしている美紗緒の横に白いレースのカバーで覆われたクッションを置き、
少し体を引いて全体を見渡してから、丁寧にポーズを指示する。
最終的に、クッションを枕代わりに横たわる格好が出来上がり、
顔は正面を向き、乳房も茂みもあらわなままで片膝を立てた、
リラックスしたポーズに決まった。

「手は・・楽な位置に置いてください。それに合わせます。
 ただ、乳房の上にはかからないように、お願いします」

声なき返事をした後、左腕は腰の括れにあてはめ、
右手はだらんと力を抜いてソファの上に置いた。

「いいですね、バッチリです。このポーズを忘れないように。
 あ、でもデッサンするんだから大丈夫か」

言い出した自分が先に笑うと、少し遅れて美紗緒も小さく笑う。
涙の筋が残ったままの頬をゆるめて、涼輔の気遣いに笑みを返した。





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