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最後の一色
第4章 初日
「よかった・・笑ってくれて・・
見知らぬ男の前で裸になるって、涙が出るほど恥ずかしいですよね。
でもね、日を重ねていけば互いの間に信頼関係もできてくる。
安心もできるようになってくる・・はずです。どうか僕を信じてください」
ソファの上に体を横たえたままの恰好で返事をするのはなんだかおかしなことだと思えて、
喉の奥でかすかな笑いをもらしながら、はいとつぶやくように返事をした。
美紗緒の頬に赤みが差し、表情筋が緩んできたことを確認すると、
では、と涼輔は被写体の正面に座り、スケッチブックにデッサンを描き始めた。
鉛筆が紙の上を滑る音が聞こえると、不思議と美紗緒の心は落ち着きだした。
今、彼の手によって自分の姿が描かれている。
操られる鉛筆は、どんな線で私を描くのだろう・・
次第に頭の中は無に近づいていく・・
さっき涼輔が言った、2度目からは慣れてくるはずだ、というのは
こういうことなのかもしれない。