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最後の一色
第4章 初日


着替えを終えて部屋から出てくると、キッチンから
コーヒーの香ばしい匂いが漂ってきた。

美紗緒の気配に気づいた涼輔は、キッチンの奥から美紗緒に声をかけた。

「どうぞ、コーヒー淹れましたから」

香りに導かれキッチンへ入ると、テーブルには
甘そうな菓子とコーヒーが並べられていた。

「時間、まだ大丈夫ですよね、今度はゆっくりティータイムにしましょう」

こんな繊細なもてなしをしてくれるなんて、同じ男でも康文とは大違いだ、と
心の中でつぶやいた。

「田原さんはとても気を使ってくださるのね。
 お茶にお菓子、それにあんなに素敵なガウンまで・・
 今私、主人と比べてしまいました」

さっきまでの緊張がうそのように声が弾む。
もうこの男にすべてを見せたのだ。
これ以上恥ずかしがる要素がない。

美紗緒の口からは本音がすんなりと飛び出した。


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