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最後の一色
第4章 初日
「そんなたいした男じゃないですよ、僕なんか。
女性は気も使ってほしいだろうけどそれ以上に経済力がものをいうでしょう?
そればっかりはどうにも補えない。
だからせめて喜んでもらえることをしようってだけです」
涼輔は顔を赤らめた。
女性に褒めてもらえるのはどれくらいぶりだろう。
10年も付き合った恋人が自分のもとを去ってから1年、
被写体としての女としか縁がなかった。
だからまっすぐな瞳を向けて自分の事を肯定してくれた女に、
異性を感じてしまったのも無理はない。
薄く笑い声をもらしながらコーヒーをすする涼輔に、美紗緒もまた、
小さく心を動かしていた。
康文にももう少し、涼輔のような優しさがあったら・・
そうやって男を比べはじめると、突然降ってわいたかのように感情の種が芽吹いてくる。
ついさっきまでは自分の体に視線を注ぐただの画家たっだのが、
一人の男として心の中にその居場所を得る。
まだ2度しか会っていないのに・・