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最後の一色
第6章 5日目
喉が渇いていたのは、止まることのなかったおしゃべりのせいだ。
ヒリヒリとした痛みさえ感じる。
話し終えてわずかに沈黙した後すぐ、終わりましょうと涼輔が声をかけた。
もう一時間たったのか・・そのうちどのくらいの時間、
私はしゃべり続けていたのだろう・・
ゆっくりと体を起すと、少し頭がふらついた。
あの時の事を思いだすとさらに目の前がかすんで見えた。
康文の言う事はもっともだと思った。
30万円という金額を、大金と取るか、少額のまとまった金、ととるかは
個人差があるだろうが、たいていの人にとっては大きな金だ。
それを簡単に他人に貸してしまうとは、おまけに
貸したという証明もできないなんて、なんて浅はかなんだ、と声を荒げていた。
「この金は俺が働いて稼いだ金なんだぞ?
いくら家事をしっかりやっていてもおまえが簡単に使うなんて、許されると思うのか?
だいたい・・親しいと言ったってうわべだけの付き合いで大金を借りるような奴、
信用できるわけないだろう、普通は」
そう捲くし立てた時の夫の冷たい目・・
今でも思い出すと涙が出る・・