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最後の一色
第6章 5日目
その想いが美紗緒の動きを止めた。
ソファの上でしばし動かず足元を見つめている女に
涼輔は手を差し伸べたい気持ちに駆られた。
だが、彼女の手を取ってはいけない。
触れてはいけない・・
「・・美紗緒さん?」
涼輔の絞り出すような声に美紗緒は我に返った。
顔をあげると、心配そうに眉根をよせた涼輔の顔が目に入った。
「よかったら・・このあとも好きなだけおしゃべりしていってください。
あなたの気が済むまでお付き合いしますから」
優しい眼尻だった。
美紗緒は小さく頷いた。
少し・・もう少し・・ここにいさせてもらおう・・
安らぎの時間をいただこう・・
体の動きを取り戻し、床に落としたガウンを素早く羽織ると
寝室へと急いだ。