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最後の一色
第6章 5日目

すると、深刻な面持ちの美紗緒が、突然笑い出した。

小さく始まった笑い声は、しだいに大きくコロコロと転がるような明るさを見せだした。

「どうしたんです?」

その変化に驚いた涼輔は眼を見開く。

「ごめんなさい、いきなり笑いだしたりして。
 よくよく考えると・・40近いおばさんがホステスなんて、ずうずうしいわよね。
 いくら手っ取り早く稼げるっていったって、こんなオバサン、
 雇ってくれるわけないわよね」

美紗緒の笑いはまだ止まらない。
見続けている涼輔まで、なんだかおかしくなってきて、つられて笑い出した。

「すいません、僕まで笑ってしまって。ほんとは笑い事じゃないのにね」

でもこれでいいと思った。
笑うことは体にいい。
辛い時だって、笑えるんなら笑ったほうがいい。
2人は自然に納まるまで笑い続けた。


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