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最後の一色
第6章 5日目

「ごめんなさい、女性に年齢を聞くなんて」

「いえ、いいんです。自分で言ったんですから・・39歳です。
 田原さんは?初めてお会いした時、40超えてから、っておっしゃってたけど」

「僕は42歳です」

「あの・・ご結婚はなさらなかったの?」


小さな家で一人で暮らしている優しくて穏やかなこの男は、
42歳のこの歳までなぜ独りなのか。

他人にはそれぞれ事情がある。
訳あって、だったり訳なく、だったり、それも事情だ。

この男に関して言えば、女性に愛される誠実で素敵な男性に見えるのに、と
美紗緒は考える。
だから余計に知りたいのだ。


涼輔は自身の手元を見ながらフフと笑う。
そして観念したように話し出した。

「美紗緒さんにはなんでも正直にしゃべってしまいたくなる・・
 一年前、10年付き合った恋人が去っていきました・・
 結婚しようって言わなかった僕に、もう我慢の限界だったんでしょう。
 彼女は5歳年下で。
 このまま待ち続けたら子供は望めなくなるって、
 今すぐ結婚しないならもう終わりにしようって・・」




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