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最後の一色
第6章 5日目
思いつめた表情から意志の強さを見せる表情への移り変わりを見せつけられて、
創造意欲にかき立てられたのがきっかけだが、
こうして日々顔を合わせ、おまけにその美しい顔と体を目にすれば、
男として心動かぬわけがない。
素直に、涼輔はそれを認めた。
それでいいと思った。
自分の気持ちに正直になることが、誠実でいられることだと信じていたから。
「結局のところ、縁がなかったっていう事ですね、恋人にも、結婚にも。
それもまた僕の人生なんだなって、思うことにしています。
だって、考えたところでどうにもなりゃしませんからね」
ドリップされたコーヒーをまず美紗緒のカップに、
そのあと自分のカップにも注ぎ足す。
たちこめる香りに目を細めた。
「すみません!僕こそつまらない話を・・
それに美紗緒さんにおしゃべりしてってくださいって言っておきながら
僕がペラペラしゃべっちゃいましたね」