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最後の一色
第6章 5日目
最初の話題は跡形もなく消えていた。
美紗緒を心配して話を聞いていたのに。
でもおかげで、深刻なぬるい空気も消えていった。
再び訪れた笑いの渦に、2人は顔を見合わせる。
こんなにも穏やかなひと時が過ごせるなんて、美紗緒はもちろんのこと、
涼輔もまた喜びに浸っていた。
話しに夢中になっている間に窓の外はオレンジ色の雲に染め変えられたいた。
時計を見ると、すでに6時になろうとしている。
涼輔は慌てた。
こんな時間まで人妻を引き留め止めてしまって。
彼女の夫が心配しやしないか、いや、なにか不信を抱いたりしないか。
「もうこんな時間になってしまって、大丈夫ですか?夕飯の支度とか・・」
オロオロとした男の顔を、
美紗緒は鼻にシワを寄せて小さく笑い飛ばす。
「まだ6時でしょ?大丈夫ですよ。
夕食の支度っていったって・・主人、帰りはいつも8時過ぎだし・・それに・・」