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最後の一色
第11章 14日目
店を出ると自然と足が速くなる。
通いなれた通勤路の景色も、今ではただ流れるだけ。
10分という道のりもあっという間に感じる。
アトリエの門が見えてくると、思わず小走りになった。
そんなに慌てることないじゃない、と自分を笑いながらドアを開ける。
「おはようございます」
声をあげながら勝手に上がり、キッチンへと向かう。
奥の寝室から涼輔の返事が聞こえた。
テーブルの上に荷物を置き、冷蔵庫へしまっているところへ涼輔が入ってきた。
今起きたばかりなのか、髪の寝癖を撫でつけながらキッチンへ入ってきた。
「おはようございます・・すいません、こんな格好で。ついさっき、起きたばっかりで」
羽織っているシャツの前がはだけて、華奢な胸が美紗緒の眼に映る。
思わず頬を赤らめたのは、その胸に抱かれたら、と想像したからだと、
恥ずかしながらそれを認めた。
涼輔は、美紗緒の様子に気がつきアタフタとシャツのボタンを留める。
同時に下半身の熱と中心の動きにも気がついて、
「あの!着替えてきます!」
そう叫びながら寝室へと駆け込んだ。