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最後の一色
第11章 14日目
ドアを開けた瞬間、布団がまくれ上がったままだったことに気がつき、
大慌てで美紗緒の前に立ちはだかった。
「ああごめん!みっともないとこを!」
あまりに慌てて布団を直そうとしたので、傍らにいた美紗緒に体がぶつかった。
はずみでベッドに手をついた美紗緒の二の腕を涼輔がすかさず掴んで引き起こした。
「ごめんなさい、大丈夫?」
引き寄せられて、息のかかるくらいの近さまで距離を縮めた。
そして二の腕を掴む手。
じわじわと熱を放っていく。
このまま・・抱き寄せられたら・・
唇が少し開いて物欲しげな口元は、秘めた思いをさりげなく伝える。
その美しい人妻の表情を見た涼輔は、これだ、と確信した。
この表情を・・もっともっと引き出すために・・限界まで我慢しよう・・
どんなに背中を押されても・・とっておこう・・
最後に足す一色は・・
二の腕を掴んだまま力強い目でじっと見つめている男に、美紗緒から声をかけた。
「あの・・涼輔さん・・」
「・・あ・・は、はい!」
掴んだままでいた女の腕を慌てて放した。
ベッドを前にして互いを意識しだした男と女は、
ぎこちない動きとぎこちない心を隠そうと必死になっていた。