この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
My blue sky prince...♡
第2章 別れ
「っ…」
篤…
向こうから歩いてくるのは、ほんの数分前に別れた元彼。
…と、
隣にいるの、誰…?
篤の前を歩いてた人達が丁度間を空けた時に見えた、篤の隣を寄り添って歩いている…
背の高い篤に遠く及ばない、小柄な可愛い女の子。
その子もあたしと同じような模様の浴衣で…
腕を組んで寄り添って歩く姿は、相思相愛のカップル以外何にも見えない。
そして、思わず目を見開いて立ち止まったあたしの目に映ったのは、愛しくて仕方ないと…あたしが知る限り初めて見る、あたしには向けられる事がなかった篤の”愛のこもった”視線。
その目線が、不意にあたしを捉えて、その瞳が大きく開いた。
…あ、
口を開いて、呼び止めようとしたあたしをよそに。
まるで何事もなかったかのようにあたしから視線を逸らした篤は、あろう事か…隣にいる、可愛い女の子の腰を抱き、あたしの横を通り過ぎて行った…
…え。
あたしの体に人がぶつかっていく。
「邪魔」
なんて言われて押しのけられたりする。
なに、それ。
「…はぁ、はぁ、はぁ」
…息が苦しい。
ボロボロと涙を零しながら、…振り返った。
もう何も考えてなくて、咄嗟の行動だった。
浴衣なのを一瞬忘れて、遠くなっていく長身目掛けて走り出した。
「…っ、このっ…」
今日の為に買った浴衣用のカバンを振り上げて…