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らぶあど encore!
第34章 祈り
カナは俯いて一呼吸置くと厳しい口調で言う。
『私は心配なんです。あの時みたいに何かあるんじゃないかって。不穏な種を中野さんは持ってた――それを承知で岸会長は中野さんの有能さを買って側に置いてましたけど、結果ほなみさんは怪我をして、中野さん自身も今服役中ですよ?……何か秘密を持っていたり隠し事や嘘をついてる人は不穏を呼び込むんです。そして、誰かが大ケガをするんです……』
『ねえ……カナちん……あの時と今回の事はまたちがくない?……中野さんはかなりヤバイ人だったけどさ、景子は私達とそんなに変わらない女の子でしょ?……まあ……ちょっと嘘は付いてたかもだけど』
『――あの人を庇うんですか?このまま放置して何かあったらどうするんですか!』
『――っ』
言葉ではそうは言っているが、あぐり自身も既に景子への疑いが大きくなっていた。ただ、認めたくなかった。今まで心を砕いてきたつもりだった。初対面は最悪だったとしても、友達になれるかも知れない、と信じていたのに――