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らぶあど encore!
第34章 祈り
――――
「ふう……」
先程のカナとのやり取りを思い出しながら苦し気に息を吐いてこめかみを押さえるあぐりを見て、綾波は目を細める。
「お前がそんな顔をするとはな」
「……あんただって……」
あぐりは、緊張の面持ちの綾波を振り返る。
綾波は時折時計を確認しては、開かない診察室の扉を見て膝を指で叩いている。眼鏡の奥の瞳が張りつめた輝きを放っていた。
「ただでさえ俺も祐樹もこういった事には慣れてないからな……まあ、慣れちゃ困るんだが」
「そりゃそうだわよ」
綾波の本気とも冗談ともつかぬ言葉にあぐりは苦笑した。