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らぶあど encore!
第34章 祈り
綾波はあぐりの握り拳が頭に降り下ろされる寸前で楽々と片手で受け止め、目を丸くした。
「おいおい、今頃その話か?」
「今頃じゃないわよ!私は今!頭に来てるんだから――!まさになうよ!」
あぐりは悔しがり、もう片方の拳を振り上げる。
綾波は「おっと」と小さく呟き、それも受け止める。
「き――っ悔し――!一回くらい殴られなさいよね!私のストレス解消に貢献しなさいよ!」
「全くもって意味がわからんな……」
「だってだって……ワケわかんない事になってる上にほなみがっ……」
両の拳を掴まれながらもブンブン腕を振り回すあぐりが涙を浮かべて絶句するのを見て、綾波は溜め息を吐くと突然パッと手を離し、瞼を閉じた。
「殴って気が済むならやれ」