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らぶあど encore!
第34章 祈り
ほなみの頬から赤みが消え、いつもの柔らかな微笑みが消え、苦し気に唇を噛みしめ、大切な物がこぼれ落ちそうになるのを必死で止めようとするかのようにお腹を細い両の腕で抱き締めて崩れ落ちた、その瞬間の映像が祐樹の目の奥に深く焼き付いてしまった。
以前、祐樹を傷付けようと当時岸コーポレーションの守衛だった中野が刃物を振り上げ、ほなみが祐樹を庇った時を思い出してしまい、ほなみの髪に触れながら指が知らず知らず震えていた。
――ほなみを失ってしまうかと思った……
祐樹の瞳は熱い涙で盛り上がるが、ほなみに見せないように天を仰いだ。