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らぶあど encore!
第34章 祈り
「今日帰れて良かった……」
頭に置かれた祐樹の手を嬉しそうに握り締めるほなみが視界に入ってしまい、祐樹の瞳から堪えきれない涙が落ちてしまう。ほなみは頬に何かが落ちた感触に瞬きし、祐樹を見上げた。
「西君……大丈夫、私は大丈夫だから」
「……っ」
祐樹は手の甲で涙を拭い、無理に笑顔を作る。
その仕草にほなみの心が痛んだ。感情の赴くままに物を言って行動する祐樹は恐れ知らずでもあり、ほなみは時にヒヤヒヤする事もあるのだが、今目の前の彼は感情を押し殺そうとしている。
ほなみは太陽の様な明るさに惹かれ、恋したのだ。彼にはいつまでもそのままで居て欲しいのに――と思う。