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第35章 祈り②

　あの後あぐりは迎えにやって来た野村と共に彼のマンションへ、カナは智也と電話で話していたが、急遽岸の家へと呼ばれた。緊張の面持ちのカナを綾波が岸家へと車で送り、綾波は今後の事を検討すると言って、志村の元へと向かった。

　ほなみが景子と史のバンドのライヴを見に行き、景子に置き去りにされたあの夜からはその流れで祐樹のマンションにいたほなみだったが、いつまで祐樹と一緒に居られるのか、また別居しなくてはならないのだろうか、と気を揉んでいた。

　あぐりも元はほなみのお目付け役兼お世話係で仕事を休んでいるのだし、このままの状態は良くないだろう。
　
　祐樹がどうするつもりなのか、ほなみは気にはなっていたが、言い出せずにいた。

　実際、マンションに戻ったとしても、祐樹が不在の事の方が多いのだ。