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らぶあど encore!
第35章 祈り②
「なんだ……こんな時に」
祐樹は内心救われた気持ちだったが、ほなみには嫌々電話に出る様な体を装い渋い表情を作ると、上着のポケットからスマホを取り出す。
噂をすれば――いや、思い浮かべただけで奴の事を口にしてはいないが――綾波からだった。
祐樹はスマホを手にまだ少し苦しそうに咳をするほなみの隣まで戻ってきて、彼女に毛布をかけてやりながら話す。
「もしもし……なんだよ」
『俺だ。ほなみの様子はどうだ』
二言目にはほなみの事かよ――祐樹は苦々しく口を歪めた。
先程の経緯を考えれば、彼がほなみの容態を案じているのは当然なのだが、綾波がほなみに構う事が面白くない。
我ながら嫉妬深い粘着で面倒な男だよな――と思いながら、祐樹は素っ気なく答えた。
「ああ、元気さ」