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らぶあど encore!
第35章 祈り②



『……まあ……ほなみには聞かせたくない話だが……それも無理だろうな』



 綾波の言葉に、ほなみの艶やかな髪の感触を楽しんでいた祐樹は眉を上げる。



「なんの話だよ」

『北森景子の事だ……それと、明智史』

「……景子ちゃんと……今、なんて?」




 祐樹の澄んだ瞳の奥が揺らめいた。脳裏に鮮やかに甦る音が、彼の記憶を呼び覚ましていく。

 西洋の人形の様に整った目鼻立ちと、天使の様なハイトーンボイス。彼がマイクを握りステージに佇むだけ生まれる不思議な空気。放課後、音楽室で皆ギターやベースを持ち込み、大好きなバンドの曲を出鱈目にアレンジして演奏した。皆の演奏に史の声が乗ると、祐樹はやたらと胸がワクワクした。

 彼の声に合わせてピアノを弾き、祐樹も一緒に歌いながら、きっとこうして皆でいつまでも居られる、と何の疑問も持たなかったあの頃――





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