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らぶあど encore!
第36章 目を醒ますBEAT


「なに遊んでるの……あぐり」

  
 野村はプッと吹き出して、冷蔵庫の前に追い詰められトレーを持ったまま、へたりこんでしまったあぐりの髪を一束指でそっと掴み弄ぶ。



「あっ遊んでないし――!」

「今更照れるとか可笑しいなあ……俺のプロポーズ、受けてくれたのに」

「――っ」



 あぐりは彼のその一言で大いに照れて耳まで赤くする。

 そうなのだ。彼にプロポーズされて、一応OKしてしまったのだった。だが、あの日以来色んな事でバタバタして、具体的な話を一切していなかった。
 
 ほなみがいつ体調を崩さないか、とあぐりはいつも神経質に目を光らせ、結婚していた頃にさえあまりやらなかった料理をレシピ片手に毎日作っていた。不器用なあぐりを心配して、ほなみがいつも一緒にキッチンに立っては居たが。三食の献立を考えたり作ったりする毎日は忙しくて、正直野村との事を考えている時間はなかった。


 
 
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