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らぶあど encore!
第36章 目を醒ますBEAT
野村は形のよい唇を舌で舐め、長い指をあぐりの首筋に這わせ、胸元で止めて軽く爪を立てる。
いつものクールな表情ではなく、飢えた獣を思わせるような仕草だった。
あぐりは目の前にある綺麗な顔を息を詰めて見て、小さく呟く。
「野村君は……嘘つくの?」
「付くよ」
あっさりと答える彼に絶句するあぐりの頬に野村は軽くキスして笑う。
「嘘つかない人なんかいる?……あぐりだって嘘つくだろ」
「わっ……私はっ!」
言い掛けてあぐりは黙りこんだ。
確かにそうだ。自分だって、高校生の頃からBEATSの稲川の愛人だった。愛人がいながら他の人と結婚していた。親友のほなみにさえずっとその事実を言えないでいた――
景子を責めたカナの言葉は、あぐりの胸にも突き刺さっていた。嘘をついた事で糾弾されるなら、私だって同じだ――