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らぶあど encore!
第7章 ライヴ=人生?②
景子はポケットから煙草とライターを取り出し、向かった喫煙ルームのドアを開け中へ入る。
誰もいない喫煙ルームは、乾いた空気だった。
パイプ椅子に腰掛けて、煙草を口にくわえ指を動かしライターに火を灯すが、蓋をして消してしまいゴミ箱に投げ捨てた。
「煙草の匂いをさせていたら……洋平に嫌われちゃうわ」
ボソリ、と呟き、溜め息を吐いて天井を仰ぐと、またスマホが鳴る。
眉を一瞬しかめて、通話ボタンを押した。
「はい……ええ。
……だから……
ちゃんとやってるわよ!……」
電話の向こうの相手に、苛立ちを滲ませた声で怒鳴る。
景子は相手の話を半分、いや殆ど右から左へと聞き流して適当に相槌をうつが、ひっかかる言葉には反応してしまい、眉間にシワを寄せる。
「うん……
分かってるわよ……
ええ……そう。
お願いします……じゃあ」
切ろうとすると、相手がまた何かを言った様だ。
景子は鋭い声で早口に叫んだ。
「――だから、そんな事は一度言われればわかるわよ!何度もくどいのよ!」
わめき声が聞こえたが、無視して切り、電源もオフにしてしまう。