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らぶあど encore!
第9章 ライヴ=人生?④
「えっ……」
景子の胸が、激しく高鳴り始めた時、亮介は側転しながらステージへと躍り出た。
爆笑と拍手で会場が包まれ、祐樹や他のメンバーと共に亮介は面白おかしくMCをしていたが、景子の頭の中にその会話は全く入って来なかった。
手の甲に残る、柔らかく暖かい感触。
自分の指でそっと触れてみたら、ジワリと痛みを伴う甘い味が胸の中に広がってどんどんそれは大きくなって……
それを打ち消す様に首を振るが、亮介の声が頭の中でこだまして反響する。
『俺、冗談でこんな事しないから』
「――――!」
強烈な痛みが喉に刺さり、思わず呻くと、手の甲に暖かい涙が落ちていた。
これは一体、何の涙なのだろうか?
(……久しぶりに、優しい言葉をかけられたから……だから悲しくなっただけよ……きっと……)
景子はギュッと目を瞑ったら涙が止まるかと、やってみたが次から次へと溢れるそれは止まらず、頬を濡らしていく。