この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第10章 sugar escort
「まあ、言われたけど……そうするって決めた訳じゃないし」
あぐりは、フフンと鼻で笑うと、メイクボックスから口紅のパレットを出して、鮮やかなチェリーレッドを塗る。
ハッキリした目鼻立ちのあぐりを更に引き立てるその色に、ほなみは見とれた。
「でも……
男の人が……そういう事を言い出すって、一大決心じゃないの?
ちゃんと、返事したほうが……」
「ほなみ~!
あんた、私の心配してる場合じゃないでしょ!
あんたはとにかく、身心共に健康的に過ごしてさ、元気な玉の様な赤ちゃんを産む!
その事に集中なさい!」
「う、うん……」
ほなみは、お腹に手でそっと触れた。
まだ、見た目は殆ど変わらないけれど、この間の名古屋ライヴで初めての胎動を感じてから、ふとした時に自分の中で動く小さな命にいとおしさを覚える事が多くなっていた。