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らぶあど encore!
第10章 sugar escort
洋平が産まれてからは園のママ友達も何人か出来て育児の悩みや世間話をしたりもしたが、その縁も、実家を追い出され洋平と引き離されたと同時に絶たれてしまった。
周りを見回すと、カップルや親子連れもちらほら居る。
青い風船を手にした小さな男の子と若い母親が手を繋ぎ歩いている姿が、不意に目に飛び込んで来た。
二人の姿に、自分と洋平が重なってしまい鼻の奥がつんとした。
ツキィーンという頭の鈍い痛みまでが襲い、景子は溜め息を付いてバッグから薬を出して、口に含み飲み込む。
偏頭痛に悩まされる様になったのは何時(いつ)からだろうか。
昔の事を思い出したり、悪夢を見ると必ず目の奥が痛む。
薬を飲んでも本当に効果があるのか無いのかも定かではないが、気休めにはなる。
薬の殻を上着のポケットにしまい前を見ると、既に先程の親子は姿が見えなくなっていた。
着メロが鳴り、画面を再び見ると、史からのラインだった。