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らぶあど encore!
第10章 sugar escort
「ああ……もうっ!」
景子は舌打ちする。
亮介のどこか飄々とした軽い口調や仕草を思い浮かべると何故か頬が熱くなるのは、きっと気のせいなのだ。
優しい言葉をかけられる事に慣れていないから、だから妙な気持ちになるだけなのだ、と自分に言い聞かせる。
自分には、史が居る――
いや、史しか居ないのだ。
亮介とは、あれから必要な会話しかしていない。
ライヴの時の彼の集中力は凄まじく、名古屋では開演前に話をしたりしたが、その他の公演の彼は鬼気迫るものがあった。
名古屋の罰ゲームが済んでから、解き放たれたのもあるのだろうか。
あの時には気弱な一面を見せたが、他の会場ではアグレッシブそのものだった。
長い手足を存分に生かしたギタープレイでステージを飛び回る亮介に、景子は思わず釘付けになったものだ。
あれが、本来の彼の姿なのだろう――