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らぶあど encore!
第10章 sugar escort
亮介に気付いた周囲の女性が彼を目で追うのがわかる。
彼が雑踏の中こちらに歩いてくるのが、まるでスローモーションに見えた。
景子はスマホを手にしたまま、視線を外せない。
亮介の口元が微かに笑うと、優雅な手付きでサングラスを外す。
途端に、街中で悲鳴が上がる。
「キャア――!」
「亮介君だ――!」
亮介は、その反応に目を丸くして、足を速める。
一人、二人と後を追う女性が増え、あれよあれよという間に何十人という人数が黄色い声を上げて亮介を追いかけていた。
(――全く……
何をしてるのよ!)
景子は、くるりと背を向けて他人の振りをしようとした。
黄色い矯声が近くなったかと思うと、突然腕を掴まれ引っ張られた。
目の前に、背の高い後ろ姿と揺れる黒髪が見えた。
「――逃げるよ!
景子ちゃん!」
「えっ……」
がっちりと繋ぎ合わさったその手は、火傷しそうに熱い。
あまりの熱さに離そうとしたが、更に強く握られて引っ張られる。
悲鳴を後ろに聞きながら、街中を二人は駆け抜けた。