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第10章 sugar escort

｢ゴメン……じゃあ、もう降ろす……？｣



亮介は泣きそうな顔になっている。

景子は、その表情に泣いた洋平の顔が重なり、釘付けになってしまった。

大人の男が情けない顔をするのを、景子は見た事が無いのだ。



史はいつも自信満々な強い瞳をしていて、弱気な顔を見せない。



――男がしょげた顔をするなんて女々しい、私は、決して弱味を見せない史のそんな所が好き――
と思っていたのだが、今、目の前で狼狽えて泣きそうな亮介に、心を掴まれてしまっている。



(な、何故私――？)


もっと罵倒してやるつもりだったが、戸惑い何も言えずに景子は黙ってしまう。