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らぶあど encore!
第2章 じれったい距離
「本当にすまない……
よりによって左手の薬指じゃないか」
「だ、大丈夫ですよ!
今のところこの指にリングを嵌める予定はありませんから!」
「……」
一瞬だが智也の瞳に不機嫌な色が浮かんだ様に見え、カナはドキリとした。
智也は指に綺麗に包帯を巻くとホッと溜め息を吐いた。
「応急処置はしたけど、念の為に病院に行った方がいいよ」
カナは首を振った。
「いやいやいや!そこまでしなくても大丈夫です!社長の手当でもう治りましたっ!」
「そんな訳ないだろ……」
「直ぐに治します!根性で!」
智也はクスリと笑うと、茶色い巻き毛に触れて来て、カナはギクリと身体を震わせた。
「クレッシェンドに贈るアレンジメントフラワーも、凄く素敵な出来だったよ。ありがとう」
長い綺麗な智也の指が髪を弄ぶのを、カナは緊張しながら見詰めるしかなかった。
「い、いえ、あんな物でよかったんでしょうか……」
カナの祖母は由緒ある生け花の家元で、カナも祖母に生け花やアレンジメントを習っていたため、花を扱うのは慣れているのだ。
智也はクレッシェンドのライヴへ会社から花を贈るのを、カナへ頼んだのだ。
よりによって左手の薬指じゃないか」
「だ、大丈夫ですよ!
今のところこの指にリングを嵌める予定はありませんから!」
「……」
一瞬だが智也の瞳に不機嫌な色が浮かんだ様に見え、カナはドキリとした。
智也は指に綺麗に包帯を巻くとホッと溜め息を吐いた。
「応急処置はしたけど、念の為に病院に行った方がいいよ」
カナは首を振った。
「いやいやいや!そこまでしなくても大丈夫です!社長の手当でもう治りましたっ!」
「そんな訳ないだろ……」
「直ぐに治します!根性で!」
智也はクスリと笑うと、茶色い巻き毛に触れて来て、カナはギクリと身体を震わせた。
「クレッシェンドに贈るアレンジメントフラワーも、凄く素敵な出来だったよ。ありがとう」
長い綺麗な智也の指が髪を弄ぶのを、カナは緊張しながら見詰めるしかなかった。
「い、いえ、あんな物でよかったんでしょうか……」
カナの祖母は由緒ある生け花の家元で、カナも祖母に生け花やアレンジメントを習っていたため、花を扱うのは慣れているのだ。
智也はクレッシェンドのライヴへ会社から花を贈るのを、カナへ頼んだのだ。