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らぶあど encore!
第14章 それぞれの、朝 ①




フワフワした髪の間から、優しい二つの目が覗いて居る。



「……おはよ、景子ちゃん」


低い声が、景子を完全に目覚めさせた。



亮介の大きな指が、こぼれた涙を拭っている。



景子は呆然としながら、今の状況を把握しようと必死に昨夜の記憶を辿るが、タクシーに乗り込み、彼にキスされてからどうなったのか、全く分からない。



「あ……ああ……あの」



景子は、ベッドで亮介の裸の胸に顔を埋めて、腕に包まれて眠っていたらしい。


視線を、亮介の顔と、意外に逞しい胸板と、部屋の天井やインテリアに落ち着き無くさ迷わせた。


景子の部屋ではない。


落ち着いたグレー系でコーディネートされたシックなマンションの部屋だが、不釣り合いにカラフルな"はまじろう"のフィギュアが飾り棚に並んでいる。

何処かの、そういった目的に使われるホテルでも無さそうだった。



「ここ……って」



「うん、俺の部屋」


亮介は、柔らかく笑う。
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