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らぶあど encore!
第14章 それぞれの、朝 ①
「……て」
「え……?」
しゃくり上げながら、震える声を絞り出すと、亮介が手を握り締めた。
景子は、胸に何かがつかえている様に、思うように話せない。
小さな子供が泣いている姿の様だ、と亮介は思った。
妹が泣き出した時、背中をトントンと叩いて慰めた事を思い出して、亮介は景子の上半身を起こして、その華奢な背中をそっと叩く。
「ふっ……んええっ……ひっ……」
「よしよし、まだ足が痛むんだね?
……病院に行こうか……痛て――!?」
亮介は、思いきり髪を引っ張られ、ブチブチと何本か抜けるのが分かると、恐怖に叫んだ。
「――とんちんかんな事言ってんじゃ、ないわよ――!」
更に髪を引っ張られ、またブチブチ抜ける。
「け、景子ちゃんっ――す、ストップ!」
亮介は、景子の両手を掴んで止めた。
景子は、息を切らして涙目で怒鳴る。
「私をどうにかしたいなら……
はっきり言いなさいよ――!
馬鹿――!」