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らぶあど encore!
第14章 それぞれの、朝 ①
亮介は、景子を胸に引き寄せ、もう一度言った。
「景子ちゃんが、好きだ」
景子の胸の中に、甘い感情が洪水の如く押し寄せて、浚われそうになってしまう。
ただ、ただ胸が痛くて――
だが、それは辛い痛みとは違い、仔猫がじゃれて指に甘噛みする様な、愛しさと嬉しさを伴う物だった。
プライドも劣等感も、過去の心の傷も、この甘やかな一時で、総て消えてしまえばいいのに、と思う。
「本……当なの?」
景子は、唇を震わせた。
「俺、言ったよね?
誰にでもこんな事しない、て」
「……もっと、聞かせて」
渇き切った土が水を際限無く欲しがる様に、景子はその言葉を亮介に求めた。