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らぶあど encore!
第15章 それぞれの、朝 ②
「あぐり……
返事は……?」
「う……」
あぐりが本気で返答に詰まっている傍らで、祐樹と愉快な合唱隊の歌は最高潮の盛り上がりを見せていた。
三広はバク転を何度も決めて、亮介は倒立をしたままで頭を支点にクルクルと回転している。
♪あぐり~
君の返事を~聴かせて~
yesと言ってよ~
ハニ~
「マイハニー……」
野村は、あぐりの指にキスをした。
「ま……ままま……まいはにーってあんた」
あぐりは真っ赤になり照れながら、どうしたものかと悩む。
(どうせこれは夢の中。
……ハッピーエンドにして、気持ち良く目覚めようかしら……)
あぐりは、意を決して、野村の目を真っ直ぐに見つめた。
「の、野村君――
私……」
その時、けたたましいベルが鳴り、あぐりが驚くと、巨大なハリセンを手にしたはまじろうが猛ダッシュして来て、目の前でジャンプし、あぐりの頭をバシイ! と叩いた。
「――いったあああいっ!」
あぐりは、頭を押さえて叫ぶ。
目を開けると、見覚えのある部屋――
いつも寝泊まりしている志村のマンションだった。
目覚まし時計がけたたましく鳴り、あぐりの額に何故か落下したらしい。