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らぶあど encore!
第15章 それぞれの、朝 ②
野村は、登頂部の髪が寝癖で触角の様に立っていた。
腹を押さえて、呻く。
「……どうしたの、じゃないし……
今、俺、踏まれたんだけど……」
「えっ!?
そ、そうなの?
ごめんね――っ!
大丈夫?」
あぐりは、野村の頭を撫でた。
「……あぐり、それは頭。踏まれて痛いのはお腹」
「あ――っ!そ、そうよねっ……
なんか、見事に髪の毛が立ってるからつい触りたくなって……」
あぐりは笑いながら、野村の毛布を剥ぐと、お腹をそっと擦った。
「痛いの~痛いの~飛んでけ~」
無心に腹を擦るあぐりを、野村は笑いを噛み殺して見ていたが、ついに吹き出してしまう。
「――ぶっはっ!
……あぐり、なんかお母さんみたいだな」
「え、ええ?
……い、痛たた」
あぐりは、急に思い出した様に頭を押さえてうずくまる。