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らぶあど encore!
第15章 それぞれの、朝 ②
一体どれ程の酒を呑んだくれたらこうなるのだろうか。
あぐりは、史上最大の二日酔いを味わっていた。
飲み過ぎを後悔し始めた時、大きな手が頭に触れてゆっくりと撫でた。
野村の優しい笑顔が目の前にある。
「痛いの~
痛いの~
お天道さんの向こうまで~
飛んでっちゃえ~!」
大真面目に唱える野村にあぐりも笑い出すが、頭痛に時折顔をしかめた。
あぐりの脳裏に脈絡なく自分が少女の頃夢見ていた結婚というイメージが過った。
ごく普通の旦那様と結婚をして、休日にはホームセンターへ行って二人で犬小屋を建てて……
そんな夢を見ていた自分が懐かしく思える。
野村と――
彼ともし一緒になったら、こんな朝が当たり前になるのだろうか、とあぐりは思う。
(私が頭痛になったら、いつもこんな風に頭を撫でてくれるの――?)
ひとしきり二人で笑い、あぐりはふと疑問をぶつける。
「ねえ、何で貴方は床に寝てたの?」
野村は目を見開いて、呆れた。
「あぐりが俺をベッドから蹴落として追い出したんじゃないか……」