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らぶあど encore!
第15章 それぞれの、朝 ②
ここまで激しく笑う野村を見るのが初めてのあぐりは、最初はただ呆然としていたが、次第に腹が立ってきて、いつもの癖で彼の腹に頭突きを決めてしまった。
「ぐぁっ」
野村は腹を折り呻き、顔を歪ませあぐりを見たが、彼女がボロボロと涙を流すのを見て真顔になる。
「あぐり……」
野村は腕で、彼女を包み込むと、長い髪をくしゃくしゃに指で弄びながら背中を撫でた。
「ひっ……
のっ……のむらのっ」
泣きながら、一生懸命に何かを言おうとするあぐりは、大きな目で彼を睨む。
「野村の?」
彼女のそんな仕草が可笑しくてまた吹き出しそうになるが、何とか堪え精一杯の真面目な表情を作り、見つめた。
あぐりは拳を握り締めて高々と振り上げ、野村は思わず身構えた。
「わあっ……
頼むから、顔は勘弁……」
あぐりの両腕は、そのまま彼の首に絡み付いた。