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らぶあど encore!
第15章 それぞれの、朝 ②
痛烈な一撃を覚悟していた野村は、驚いて目を丸くするが、しがみつく彼女を大切に抱き締め返す。
あぐりは泣いて震えて、野村が予想していた通りの言葉を呟いた。
「野村のっ……
バカっ!
アホっ!」
「ハイハイ」
「ムッツリ!」
「ええっ!?」
あぐりは、背中に掌で触れて、指に彼の血が付くのを見て青くなる。
「や……だ……
ごめんっ……」
「平気だよ」
野村は、何でも無さげに笑うばかりだ。
あぐりは首を振り、シーツで身体を巻くと自分のバッグから消毒スプレーと絆創膏を出して来て、野村の手当てを始めた。
野村は、手当てをする彼女がまだ泣き顔なのを見ると、強烈ないとおしさが込み上げて来て、振り向いて彼女の手を掴み抱き寄せた。