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らぶあど encore!
第15章 それぞれの、朝 ②
野村は、最初は柔らかく抱いていたが、次第にあぐりが苦しげに顔を歪める程の力で締めているのに気付き、ハッとして力を緩めた。
あぐりが胸の中で、上目遣いで少し睨むのを笑い、野村は囁く。
「ゴメン……
殴る?
それとも引っ掻く?
……キックとか?」
「もうっ……失礼ね!
私、そんなに……
……殴ったり……してるかも……」
あぐりはモゴモゴ口ごもり、珍しくしおらしく俯いていた。
「ねえ、俺、少なくとも後何年かは、顔面崩壊する訳には行かないんだよね」
「う……は、はいっ」
「まあ~
顔で売ってる訳じゃないけどね~
若い内はまあ……
そういうのも、イメージとして重要じゃない?」
「はっ……
お、仰る通りで……」
「今、こうして見た目は変わらないけどさあ……
俺、あぐりに結構殴られてるから……
何て言うの?
目に見えないダメージが蓄積されてるかもねぇ」
「う……は、はい……」
あぐりは、胸の中でますます小さくなる。