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らぶあど encore!
第15章 それぞれの、朝 ②
「だ……だって、そりゃあそうでしょっ?
わ、私……
貴方の顔が……す、好きだしっ」
「ふふ……
あぐりらしい答えだね」
長い睫毛の瞳が目の前にあり、あぐりは見とれる。
野村の唇がゆっくり動いた。
「あぐり……
野村さんに、なってくれる?」
「――!?」
激しいデジャヴに、あぐりは絶句した。
頭の中に、夢の中のあのメロディがフルオーケストラで流れ出す。
♪結婚したら
君は
僕と同じ 野村さん~
「あぐり……?」
首を傾げて微笑む野村に、あぐりは彼との出会いを思い出していた。
あの頃、自分は別の人と結婚していて、高校生からの付き合っている恋人も居て……
(稲川さん……)
唐突に、かつての恋人のミュージシャンの面影が浮かび、目の前の野村に重なる。