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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
「よ……うへい」
景子は、譫言の様に小さく呟き、一歩踏み出すが、男の子の側に祖母だろうか、少しキツい目をした女性がやって来て男の子の頭を撫でるのを見て、また身体を強張らせ立ち止まった。
「――景子ちゃん、あの子、知り合い?」
「え……
う、うん……まあ」
亮介が聞くと、景子は言い淀む。
亮介は、景子の切ない光を帯びた瞳を見て、思い付いた様に突然
「うしっ!」
と言うと、軽やかにスキップしながら男の子の方へと近付いて行ってしまう。
「ちょ……
亮介くっ……」
景子の制止も聞かず亮介はスキップして行き、男の子の目の前で派手に転倒してみせた。
「うっわああ――っ」
これまた芝居がかった口調で呻き、男の子と女性が目を丸くしている。
「あ……あのおバカ!
何してんのよ――!」
景子は、離れた所からその様子を見てこめかみを押さえた。