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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
離れた所で立ち尽くす景子は、洋平の側へ自分から近付けずに居た。
洋平は、景子と離れて暮らしている事情を理解出来ていない。
そもそも景子の異性関係が景子の両親に発覚して叱責され、洋平と引き離されたのだから、そんな経緯を洋平に話す訳にもいかない。
洋平からすれば、そんな事は勝手な大人の事情でしかないのだ。
景子は、一月前に会った時に洋平に言われた言葉がまだ胸に痛く刺さっていた。
――『ママ、次はいつ会えるの?
いつ、一緒に暮らせるようになるの?
何で、いつも約束を破るの?
ママなんか、大嫌いだ!』――
景子は、無邪気に亮介に笑顔を向ける洋平を遠くから見つめるしか出来なかった。
なんて情けない母親だろう、と、泣きたくなったその時、突然洋平がこちらに向かって叫んだ。
「ママ、何故こっちに来ないの――?」
「……っ」
久しぶりに自分に向けられた可愛い洋平の声に、景子の胸は詰まり涙が溢れた。
亮介は、キョトンとして洋平と景子を交互に見た。
「マ……マ……?」