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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
洋平に付き添っていた女性が景子に気付き、しかめっ面を益々険しくして立ち上がり、冷たい、平坦な声で言う。
「あら……
景子じゃない。
何してるのここで」
景子は、女性と目が合うが、怯えた様に視線をさ迷わせ、俯いた。
その様子を見て亮介は不審に思う。
いつもの強気な彼女に似つかわしくない仕草だからだ。
「ママ――!
ママも、お熱が出たの?」
洋平は、パタパタと靴を鳴らして景子に駆け寄り、飛び付いた。
景子の瞳は途端に潤み、柔らかい笑みに唇が歪み、洋平を腕で包み、わが子の頭を撫でた。
亮介は、驚きに目を見開いて二人を見ていたが、やがて納得した様に一人で何度も頷き掌を拳で打った。
「……そっか……
成る程……
そうなのか……
……うん!」