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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
洋平は、景子の脚にしがみついたまま振り返り、亮介を見た。
「亮介――!
僕のママだよ!
可愛いでしょ~」
景子は、複雑な表情を亮介に向けた。
自分は、洋平の存在を伏せてマネージャーをしていたのだ。
岸和也にも、智也にも綾波にも子供の事は話していない。
独身と思わせた方が、雇って貰うには有利な気がしたし、何より西本祐樹を誘惑するには、独身を演じなければと思ったのだ。
マズい事を、マズい相手に知られてしまった、と背中に嫌な汗が伝い、同時に景子は亮介の反応が怖くて堪らなかった。
(……もう、私に興味を無くすかも知れない……)
胸の奥がキリリと痛み、景子は思わず亮介から顔を逸らすが、彼はいつの間に洋平の前まで歩み寄って来て、屈んで洋平と同じ目線で笑顔で居た。
戸惑う景子の目をじっと見つめてから、洋平に視線を戻すと、その小さな手を握る。
「うん。
洋平のママは可愛いね……ママが好き? 」
「うん!好き!」
「……俺も、大好きなんだ」
亮介は、洋平の頭を撫で、上目遣いで景子を見てハッキリと言った。
「……っ」
景子の大きな目が、驚きとときめきで輝いた。