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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
自販機スペースの窪みに隠れ事の成り行きを見ていたあぐりは、驚愕して口をパクパクさせて野村に訴えた。
「……っ……
……っ……っ!
……!」
言葉にならない叫びとも呻きともつかない。
手をバタバタさせ景子の居る方を指差したり、野村のシャツの裾を引っ張ったりしているあぐりを見て、野村は頷きながら通訳するかの様に呟いた。
「何よあのツンケン気取り女。
子持ちですって?
てか、子持ちであの色気はなんなのよ、悔しい」
言わんとする事を見事に言い当てた野村に、あぐりは目を輝かせて拍手する。
野村は半分呆れ、後の半分は彼女を可愛いと思いながら、その肩を抱き寄せる。
「ちょ……」
赤くなるあぐりに、野村は耳打ちした。
「派手に動くと見付かるよ?
だから俺が捕まえておかないとね……」
「なっ……なっなっ……
何で野村君て、言うことがいちいち……いちいち……っ」
然り気無く自身の色気を振り撒く彼にあぐりは悩殺されそうになるが、なんとか正気を保とうとして顔をプイと逸らした。
「……て、言うか……
野村君は全然驚いて無いのね」
見る限り、野村はいつもの半分寝惚けた様な目をして平常心の様だ。
「まあ……
世の中色々だから。
特に女の人は……でしょ?」